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旅行記ではない。帰郷ノートである。
(2005-07-20)
残念ながら、ハイチ旅行を考えている人が読んでもあまり参考にならない。
原因は、おそらく彼女がハイチ人だから。
よそ者の視点で書かれていないので、「旅行記」ではなく、あくまでも「帰郷ノート」である。
彼女自身が、日本版の装丁を気に入っている(本人が来日時にそう言っていた)そうなので、装丁に関してはOKなのでは。
ハイチに行ったことがある人にはおもしろいかもしれないが、予備知識がない人がいきなり読んでもついて行けないと思う。
(ただし厚い本ではないので、読み通せるとは思います)
癒しの帰郷
(2005-02-03)
本書は、米国のCrown Journeys シリーズのひとつで、気鋭の女性ハイチ系作家によるトラヴェル・エッセイ。
エドウィージ・ダンティカは69年ハイチに生まれ、12歳のときにデュヴァリエ独裁下の祖国から両親の待つニューヨークへ渡る。ブラウン大の修士論文代わりに書いた『息吹、まなざし、記憶』が高く評価され作家の道へ進む。
そんなダンティカが作家として「ハイチのカーニヴァルの首都」ジャクメルをたずね、彼女独特の視線で彼の地の熱狂と日常、歴史と現在を描く。彼女のまなざしは、ハイチ-米国、<山>-都市、ヴードゥー-キリスト教、霊-生、名も無き人びと-偉人を往還し、その語りは物悲しくも温かさにあふれる。
原著にはないカラー写真が巻頭に8ページつくが、装丁は原著にくらべ平板で残念。翻訳はとても読みやすい。また、ハイチについてあまり知らない向きは「訳者あとがき」から読むことを勧める。
ハイチのふたつの仮面。悲劇の歴史と生を懸命に生き楽しむ人びと。彼らが生みだす素晴らしい芸術と語りの文化。この小著には、現代の語り部ダンティカの、ハイチへの愛が凝縮されている。
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