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???突如として死に直面したとき、人は何を思い、どう振る舞うのか。「窓の外の熱帯雨林がぐんぐん近づいてくる。どうやらこの飛行機は墜ちるらしい」―― 2001年9月22日、テレビ番組取材中の著者を乗せたセスナ機は、ブラジル郊外で不時着。幸い乗員全員は軽傷で済んだが、「死者はもとより重傷者さえ出なかったのは奇跡」といわれたほどの惨事だった。本書は「墜落記」としてその事故の生々しい一部始終をつづったものに、その序章にあたる「イルカ記」を加えて構成しなおしたものである。
???著者を含む取材スタッフは、現代文明に一度も接したことのないアマゾン奥地のインディオについてのテレビ番組を企画していた。免疫のない彼らは現代人(文明)と接することで、病気や悪弊などをうつされて死亡したり、その共同体が崩壊したりしていた。ブラジル政府職員のポスエロ氏は、そんな彼らを救おうとしている人物で、スタッフはまず彼に会うことにした。
?「イルカ記」では、そのポスエロ氏との交流を軸として、インディオたちの置かれた状況を解説している。折にふれ描かれるジャングルの風景や地元の人々との会話が、切迫した事態をふわりと和ませてくれる。
???続く「墜落記」は予兆めいた雰囲気で始まる。再び本格的な取材にブラジルへ出発する著者は、その直前に向田邦子の追悼会に出席するが、そのあとである胸騒ぎをおぼえる。そしてそれを裏づけるかのように、米同時多発テロによって取材日程は大きく狂い、著者は「虫の知らせ」をより強く感じていく。やがて、その胸騒ぎは現実のものとなってしまうのだが。
???驚くのは事故の後、「墜落は私の人生に何の変化ももたらさなかった」と著者が言っていることだ。九死に一生を得たにもかかわらず、その体験に平然としていられる精神の強靭さにあらためて感心してしまう。(文月 達)
やはり面白いし、読みやすい
(2005-06-13)
が、他の沢木さん作品に比べ、まだ円熟味の足りない印象です。
かなりの短さで書かれるエッセイの長い版という印象です。
まあ本人もそのつもりではないかと。とくにイルカ記においては、
墜落記を書くための序章に過ぎません。
何故円熟味が足りない印象になるのか考えてみましたが、
結局残酷なことに、乗り合わせた人が皆大事に至らなかったから
なのかと思いついて自分が嫌になりました。
でも助かったのは本当に幸運だと思えるような事態です。
ただ、自分のことを書く時はかなり意識してトーンを下げているのでは
とも思います。そのトーンも南米で、いろんな運命を受け入れている人の
中にいたから、ということもあるような気がします。
不死身の沢木さんの飛行機事故体験記
(2004-09-26)
沢木さんの名前と印象的なタイトルに中身も見ずに購入した。2編のノンフィクションをまとめただけのタイトルだった事に少しがっかり。もう少し中身に富んだ編集もできたのではないか。”深夜特急”のユーラシア大陸を横断のエキサイティングな書に感化され、世界へ冒険の旅に飛び立った若者は多く、中にはさまざまな危険・事故にあった方々も少なくなく、沢木さんは「恐れずに、でも気をつけて」とはなむけの言葉を贈られていた。その沢木さんも取材中の小型飛行機に搭乗し、墜落事故に遭遇する。奇跡的に致命的な怪我とはならなかったのは沢木さんの天性の強運か。事故後の様子も淡々と語られていくが、やはり後遺症として慢性的な背、腰の痛みは残った。沢木さんは歩く事でその痛みを治癒する事に挑むが、残念ながら効果はなかった。慢性の痛みとつきあっていく事に奇妙な楽しみ?を感じてきたという記述には沢木さんならでは人生観をかいまみる。タイトルはイカロスの墜落とすべきか。
さすがは沢木耕太郎
(2003-04-16)
多分自分の人生を沢木耕太郎に重ねて考えるヒトは少なくないでしょう。しかし、墜落しようとしている飛行機に乗っている自分を冷静に重ねられる人はどのぐらいいるのでしょうか?さすがは沢木耕太郎、「どうやらこの飛行機は墜ちるらしい」と、今まさに大地に叩きつけられようとしている飛行機の中でおきた事を「めったに見られない非日常の出来事」と好奇の目で眺め続け、死なずに飛行機から脱出。しかも本まで書いてしまいました。
墜ちゆく飛行機で何が起こるか...知りたい人は是非読んでください。
背中が痛くなるまで....
本書は、まだ前編か?
(2002-09-16)
ドキュメントを描き続けてきた筆者に、まさかこんなことが起きるなんて・・・と信じられない。 そんな偶然と、その中にあっても無事に帰られた方々の奇跡のようなご経験は、まさにノンフィクション作家に与えられた何かの啓示なんだろうと素直に思いました。
沢木耕太郎さんの著作は、”一瞬の夏”に始まり、”バーボンストリート”でハマり、”深夜特急”で感化されて以来、愛読書です。(なにせ深夜特急を読んだことが、海外をうろうろするきっかけでしたから)
しかし本書については、ご自身に起きた類まれな出来事が主題となっているためか、何か深さを感じない作品でした。 もしかすると著者にとっては、まだ現在進行中の出来事であり、作品として”前編”なのかも知れないと感じました。 この続き(というより、時間を経てからの筆者自身による検証)に期待したいと思いました。
一気に読めた
(2002-06-04)
試験会場に突然乱入した不審者が試験監督に暴行を加え立ち去って行った。しばらくして,あっけに取られている「受験者」に「今,君達が見た状況を記事にして欲しい。」との指示・・・かつて,報道関係の会社でこんな入社試験があったとか。
墜落記を読んで,沢木氏ならばダントツで合格したに違いない,と何故かこの話を思い出してしまった。
さほど熱心な「沢木ファン」でもない私は,'01年のクリスマスイブ,氏がDJを務めるFM深夜放送で,この墜落の事実を知った。
飛行機を見ること,飛行機に乗ることが大好きな私には興味津々の話題。出版を心待ちにしていた。
なかなか読むチャンスがなかったが,海外出張への機上,機内で読むにはいささか不謹慎なタイトルで客室常務員諸氏の目にとまっていれば問題だったかもしれないが,一気に読み終えた。
淡々と書いているようだが,綿密に構成された文章など,氏ならではのもの。また,「旅」への姿勢があらゆるところで感じられるが,あとがきの初めの数行に,氏の「旅」への思いが凝縮されていると思う。
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