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1954年アフガニスタン8000キロ踏査の記録
(2006-12-23)
謎の民族「モゴール」の調査を主な目的とした、8000キロの踏査の記録。
1903年にモンゴル語を話すモゴール族の存在が報告されたが、その後居住地すら確認されず、いわば幻の民族となっていたモゴール族を求めて、1954年3月、著者はアフガニスタンの首都カーブル(現在は「カブール」と表記されるが、本書では「カーブル」と表記されている)に入る。若いアメリカ人研究者、通訳とともに4月末に出発し、5月21日、ヘラート近郊で、モゴール族を発見し、さらにその後、カーブルに近いバグラーンにもモゴール族が居住していることを知り、主要な目的を達成して、6月中旬カーブルに戻る。7月には、ハザーラジャートへ。主に豪族の家に滞在して、中世的社会の残存するハザーラ族の社会を調査する。
結局、モゴールやハザールの起源は謎のままなのであるが、本書の魅力は、旅の行程自体にある。美しいが厳しい自然に曝されながらのジープの旅。チャイ・ハーナで味わう茶の味。モンゴルに破壊された町の遺跡。故障した著者達のジープを1日かかって修理してくれる路線バスの運転手と、文句も言わず待ち続けるバスの乗客達。特に、ヒンズークシ山中ハザーラジャートの中世さながらの社会は印象深い。
知的紀行文学として大いに楽しめる好著である。
ところで、著者の調査に色々な便宜を図ってくれるのは、かつて日本への留学(戦争前から戦争中にかけて!!)を経験したアフガニスタン人達である。海外から留学生を受け入れることの重要さを再認識させられる。
モンゴルを求めて
(2006-02-19)
1955年に出た単行本の復刻。
本書で岩村氏が行っているアフガニスタン旅行は、京都大学が1955年に行ったカラコルム・ヒンズークシ探検の予備的な調査に当たる。カラコルム・ヒンズークシ探検の目的は、13世紀、チンギス・ハンに率いられてユーラシア大陸の各地に進出したモンゴル族の痕跡をたどることにあった。アフガニスタンにもモンゴル族の末裔が暮らしていると言われており、その確認に出掛けたのである。
岩村氏は1954年にパキスタンからカヴールに入り、トルキスタン地方とハザーラジャートを中心に調査を行った。結果、モンゴル語を使うモゴール族を突き止め、言語の採集に成功している。
発見の事実は凄いが、学術的な成果はもうひとつ。モゴール族に知りたい人は、翌年のカラコルム・ヒンズークシ探検の報告に当たるべき。
紀行文としての価値は高い。
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