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ゆっくり読みたい
(2008-10-20)
インドシナ紛争で落命した日本人ジャーナリストたちを鎮魂する遍路行のエッセイ。落命したジャーナリストの15人の大半と面識があったということに、いかにベトナム戦争が死との隣り合わせだったかを感じさせる。ゆったりとした景色が続く四国の旅情に、モノローグのように死者の記録が差し込まれる。
本筋自体も楽しめる。お遍路さんや遍路道に生きる人たちの温かい姿が写真、原稿からじわりと伝わる。写真も文章も素朴ながらにベテランの味を感じさせる。カフェでコーヒーでも飲みながら、2,3時間かけてゆっくり読めれば、と感じた。
鎮魂と読者を元気づける書
(2008-09-27)
この本は「戦争と命を考える旅」を文と写真で著わしたものだと著者はいう。
前著の『日本縦断 徒歩の旅』がモノクロ写真での本であったため、やや残念に思っていたけれども、今度の本で飢えが満たされた思い。新書版ながら、見開きでの写真は迫力がある。
それはそれとして、ベトナム、カンボジアで斃れたジャーナリスト15名への追悼のコラムが旅を綴る暖かい本文と呼応して印象的だ。2名の年長者を除いて1930年代生まれが7名、40年代の人が5名。その人々が1970年前後に戦場で亡くなっているのだから若くしての死である。著者は1938年生まれだから、まさに同時代者。41頁にひしゃげた車両が写っているモノクロ写真がある。著者が降りてから5分後に地雷で爆破されたジープだという。1965年5月19日の出来事。当時、著者は27歳。まさに「間一髪」だった。そうした日々に同じような仕事をして先に逝かれた人々と、戦禍に生涯を閉じた多くの方々を偲び、その霊を弔うための旅をお遍路として務めたのである。
それで、この本が特に若い人々に読まれることを期待する。
著者は、お遍路を始めてののち、心筋梗塞の緊急治療中に心臓が停止、5度の電気ショックで蘇生したという。退院後にウォークリハビリをしてお遍路続行できる体を取り戻し、ついに結願し、お礼参りもしてさらには高野山に登って四国で修業した空海を詣でるという元気さ、几帳面さ。本人は鈍感なのだというけれども、どうしてどうして。愚生は75歳。いろいろ病などがあってふさぎがちである。著者に励まされてこれからを過ごしたいと思う。
本書は、鎮魂とたまぶるいの書である。
ただの紀行文、案内文ではない
(2008-09-20)
戦場カメラマン・石川文洋が、「歩き遍路」をした、その記録。
著者はこの遍路旅を、ベトナムやカンボジアでなくなったカメラマンたちへの
「鎮魂の旅」だと位置づけた。
本書はフルカラーで、美しい四国の写真がふんだんにつかわれているが、
途中コラムのように、戦場で散ったカメラマンたちのことが
モノクロページで語られる。
心臓に持病を持ち、途中心筋梗塞で倒れたにもかかわらず最後まで歩き通した。
それは逝ってしまった仲間たちへ、遺された者として何かしなければという思いだったのだろう。
ガイドブック、単なる紀行文にはない厳粛さを感じる一冊である。
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