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中世アラブの英知
(2007-10-12)
翻訳物には、こなれていない日本語になっているのが少なくないですが、これは実にすばらしい日本語です。まずこのことを述べたいと思います。
それから、行き届いた注もありがたいです。たとえば、
「アラブ世界では九世紀以来、シリア語からのアラビア語訳聖書が流布しておりイブン=ハルドゥーンもおそらくそれに拠ったのであろう。」(363頁)
イブン=ハルドゥーンの思索は、堅実で冷静沈着、学ぶところが多いです。環境と文明の関わり、王権や貴族性と連帯意識の関わり、その他、読み応えがあります。
その多様性と反復性故に歴史は学ぶ価値がある
(2004-08-30)
この国には、歴史関係のロクな本がない。というと誰かの逆鱗に触れるかも知れないが、『十八史略』の伝統なのか歴史といえば「王朝交代」だと思ってる人が多くて、そんな「人物が書いてある歴史書」はせいぜいが中年オヤジの癒し系ヒーローものでしかない。
司馬遷やトゥキディデスもいいが、ヨーロッパを準備した14世紀北アフリカのチュニスに生まれたアラブ人思想家の本が、そんな渇望感をいやしてくれる。
「田舎や砂漠の人々は都会の人々よりもより善良である」とか、「被征服民は物腰・服装・考え方などあらゆる風俗習慣について、征服民の様子を熱心に模倣しようとする」なんて指摘もあり、歴史の多様性と反復性を思い知らされる。だからこそ歴史は学ぶ価値があると思う。
一般教養書としての最高峰
(2003-10-26)
14世紀当時、ヨーロッパより遥かに優れた学問体系をもったイスラム世界の学者が「歴史学を学ぶとはどういうことか」を論じた名著。の序説。大著「歴史」のうち、前提となる文明論を述べた序説部分だけが後世有名になったため、一般に「歴史序説」として通用している。そもそもある本の序説だけが名著扱いされる例も珍しい。
「優れた文明は程よい気候の場所でしか発展しない」
「どんな名家も4代のうちに没落する」
「野蛮な民族ほど世界を征服する可能性が高い(アラブ人、モンゴル人など)」
…などなど、多くの興味深い意見を一つ2頁程で論理的にまとめあげてある。
現代にこんな著作がでたら暴力的と非難されるだろうが、不思議と頷けるものばかり。「歴史を勉強するということは過去の事実を盲目的に並べることではなく、そこから真実を選び出し法則を見出すことにある」とは著者の弁。
ただ一般教養書としては、ちょっとムズカシイかな…
名著中の名著
(2002-10-05)
読んでもらえれば良さわかりますが,西欧の知識人がこの本読んで驚愕したそうです。
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