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戦史 上 (1) (岩波文庫 青 406-1)

戦史 上 (1) (岩波文庫 青 406-1)

久保 正彰

岩波書店
ランキング: 127840
価格: ¥ 903
発売日: 1966-01
発送: 通常2〜5週間以内に発送


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カスタマーレビュー

政治に感心のある者必読の書  (2006-08-20)
 上巻ではペリクレスの有名な演説が聞けます。ギリシア民主政治の思想の到達点。必読。ヘロドトスとは違って、史家は、ペルシア戦争の英雄、テミストクレースを最大限に評価しています。その英雄と史家の慧眼ぶりも読みごたえ充分です。
 そのほか読みどころ満載。いうまでもなく本書は政治好き必読書のほとんど筆頭に挙げられるべき書です。その上、物語としても面白いのがこの書の強み。戦争ができるのは人間だけであり、逆に戦争をしなくなったらもはや人間とは言えないのではないか、といえば恐らくyesでありましょう。

教訓  (2005-08-23)
 国際関係論の権威、J.Nyeのスタンダードな教科書「国際紛争」の冒頭に登場する、国際関係論の最古典といっていい書物。今回の岩波書店による復刻出版はきわめて歓迎すべきことである。
 さて、Nyeはもちろん外交に焦点をおいてこの本を読解しているわけだが、違った視点からの読みもありうるわけだし、それが古典というものの面白さであるとも思う。
 わたくしの疑問は、「どうしてスパルタ側はアテネの攻略に絞らなかったのだろう?」ということだった。それが不可能な理由は三つあった。ひとつは、専従軍隊がなかったこと。アテネの攻囲には数年間かかる。それだけの期間軍を貼り付けにしておくことは難しい。しかし、他の地域では越冬を含む軍事行動を行っていたわけだから、最大の理由ではありえまい。もう一つは同盟国との外交である。当然ながら攻囲には莫大な戦費がかかるから、それを負担させること、アテネ攻囲作戦そのものに同意を取り付けること、その他もろもろのコストがかかる。最後は兵站(logistics)の問題である。おそらく、この時代の最大の問題は、軍隊を組織すること自体よりも、その軍隊自体を「食わせる」コストの方がより大変だっただろうと思われる。アテネへの短期遠征の目的の一つが畑の破壊であったことを考えればそれも理解される。
 おそらく、この書物は現代でも多くの軍事学校で「教養」として読みつがれていると思われるが、ここで思い起こすことは、日本軍においてはこの兵站を軽視するという思想が最後まで抜けなかったことだ(別の大事な要素は技術革新--innovation--と共に諜報--intelligence--であることは言うまでもない)。かの「三国志」にしても、諸葛孔明が魏の攻略に最後まで失敗した理由がこの兵站の問題であったことがはっきり示してある。
 軍人のみならず、幅広い歴史的なパースペクティブを持つことは、すべての人間に資することであると思う。
 五つ星。

傑作  (2005-03-09)
読む前から偏見があり、ハナからつまんないと思い込んでいた本でした。
・演説が多い
  これまた演説が多い「アナバシス」があまりおもしろくなかったでこれも同様かと。
・題材がイマイチでは?
  ヘロドトスと単純に比較するとヘロドトスよりつまんなさそう。
  (1)全体構図の観点
   「歴史」:強大なペルシャ帝国 vs ギリシャ都市国家群
   「戦史」:要はあの狭い半島内での内部抗争
  (2)登場人物
   「歴史」:オルテガ・イ・ガセットがカエサルに匹敵すると評しているテミストク
        レス初め錚々たる一級の人物が登場
   「戦史」:ペリクレスを除くと二級品かまがいもののオンパレード。そのペリクレ
        スも最初のほうであえなく引っ込んでしまいます
  (3)ストーリーライン
   「歴史」:サラミスの海戦、マラトンの戦いなど物語にしやすい戦いの存在。芝居の
        ような筋立て。かつ単純明快で劇的なハッピーエンド(ギリシャにとって)。
   「戦史」:持久戦や互いの勢力を削りあうのような消耗戦、代理戦争が主。途中で講
        和したりといろいろ紆余曲折あり。
ちなみに、ヘロドトスは読んでもあまり面白いと感じなかったので、それよりつまらない題
材をあつかった「戦史」はもっとつまんないのでは?と思っていたわけですが、実際に読ん
でみたところ、予想に反してはまっちゃいました。メロス島の対話、シチリア遠征と一気呵
成に読み終わりました。牽強付会かもしれませんが、ドストエフスキー好きなら、絶対あう
と思います。
今までに読んだ古代ギリシャ人本でベストといってよいです。

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