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レビューにレビュー
(2008-10-23)
たくさんのレビューで共産制という言葉を用いてユートピアを批評していますが、そもそもユートピアは共産制ではないと思います。
というのも共産制という言葉は共産主義ではなく原始共産制を指します。マルクスの考えだと、原始共産制→奴隷制→封建制→資本主義→社会主義→共産主義となるわけですが、ユートピアが原始共産制でないと思われる点がいくつかあるので指摘したいと思います。
原始共産制ではユートピア同様に私有財産制が認められていない、というより観念が存在しません。なぜなら生産性が極度に低く、搾取は行われないので、必然的に私有財産は存在しません。これに対してユートピアは生産が極度に高まった状況ですよね。
そして原始共産制では存在しないはずの奴隷制も存在しています。奴隷制においては搾取が存在するので私有財産は存在しますが、原始共産制で生産性が増したときに誰かが他人より多く生産物を取ろう、または他人を働かそうとするときなど、それらは、搾取であり、観念的な奴隷が生まれると考えられます。
そして原始共産制では家族や個人を単位とせずに氏族を構成すると考えられていますが、個人が存在していると思われます。「すべての犯罪において犯行の意図は、直ちに犯行自体と同一視される」(一三六頁)とありますが、私はこのことは個人が存在することを証明していると思います。というのも中世においては、現在犯罪の根拠となる自由意思などは犯罪の根拠とされずに、結果に対する責任を根拠としていました。なぜなら中世では個人が確立していないので、意思やら意図は存在するはずはないと考えられていたからです。しかし、ユートピアでは犯行の「意図」が犯罪と同一視されているので、そこでは個人が確立されていなければなりません。なので個人は確立されていると言えるのではないでしょうか。
よってユートピアは共産制ではなく、プラトンのように様々な制度を混ぜた制度だと言えるのでは。
このレビューは残念ながら本書に対してのレビューとはなりませんでしたが、参考程度に見てください。
射程の長い本
(2007-04-04)
「ユートピア」として描かれる社会は、今日先進諸国の為政者たちが、建前として、理想と置いているようなコンセプトで満ち溢れている。そういう意味では、とても懐の深いスケールの大きな思想だと思う。共産制はともかく、格差が無く一人一人が他者を重んじて義務をおろそかにしない、物質的な逼迫感が無い社会で、だが勤勉で且つ生活の楽しみを尊重する。華美ではないが貧相ではない、勇敢だが好戦的ではない・・・などなど。だが、描かれた「理想の國」は、「どこにもない(ユートピア)」という名前だし、その語り手は「嘘つき博士」ヒュトロダレウスだ。そして、この理想の國の描写を読んで、読者は、「住んでみたい」と思うだろうか。そのような書き方にはなっていない、と思う。むしろ「奇態」でどこか「不気味な」社会だ。そうなると、作者の意図は何だったのか。現実におもねることを現実主義として肯定しないが、「理想」と思しき想像力の産物は、斯様なものでしかない・・・。多くを考えさせる「大人の國」イギリスの傑作だと思う。最後に一つ、「ユートピア」の市民は、よその國に入っていって、使ってない土地があれば、自分のものにして良く、後から邪魔しに来る原住民は倒してよい、と書いてある。植民地政策の基本思想がここにあり、欧米の根底にある発想かと思うと嫌な気がする。
すぐれた小説としての『ユートピア』
(2007-01-06)
本書著の正式名称は『社会の最善政体について、そしてユートピア新島についての楽しさに劣らず有益な黄金の小著』という。ユートピアとはモアによる造語で「どこにもない国」の意。本作の普及によって、理想郷の代名詞として使われるようになった。
さて、ここにはひとつの理想郷の姿が描かれているわけだが、いま“作品”と述べたように、論文や評論のかたちを取っているわけではない。どころか純然たる創作、ひらたく言えば小説なのである。
本作は2部構成である。物語は「わたし」(モア)が、友人のピーター・ジャイルズ(実在の人物)から、ユートピア共和国に滞在してきた船乗り、ラファエル・ヒロスデイを紹介されるところで始まる。ヒロスデイとモアは、英国貴族や教会の欲深さを嘆き、盗みの罪くらいで死刑にするのは本末転倒だ、と社会批判を行う。これが第1部。第2部はユートピアの政治・哲学に関して、ヒロスデイが具体的な内容を述べる。モアは感心しつつ、部分的に納得のいかないところを指摘、懐疑的な姿勢を見せる。全体のエピローグとして、モアからジャイルズに宛てた手紙(もちろん創作)が載っている。「こんな本を出していいかどうか判断がつきかねる」「ユートピアの正確な場所を聞いてなかったが、ヒロスデイに尋ねてくれないか」というようなことが付け加られ、物語は終わる。
政治家として実務に携わっていたモアは、ユートピアの政治思想、社会システムをかなり細かく設定している。ユートピアは共産社会である。私有財産が認められてないため、需要が小さい。搾取層がいないから、社会全体の労働量は(なまけ者が減るので)小さくてすむ。そのため国は大変に潤っている。国民は学問を尊び、皆が自己成長を目的に生きる。国王や官吏は社会の幸福に奉仕する。その他、戦争について、宗教について、結婚についてなど、全9章にわたって詳しく語られる。社会の必要悪(傭兵や奴隷など)にも言及しており、夢物語としての理想郷よりは、ずっと地に足のついた話となっている。
よく解説本などでは、『ユートピア』=「モアの理想社会」というような書き方がなされていることがあるが、ぼくは少し違うと思う。確かにモアは、自分の理想を本作に込めたろうが、それだけでこの豊穣さが説明できるだろうか。本書はユーモアに溢れていて、明らかに風刺のためとしか思えない奇習にも筆が割かれている。そのため物語として大変おもしろい。結局のところモアは、自分の主張を、ユーモアにくるんで巧みに作品化してみせたわけだ。こういうやり方は、現代における物語創作のスタイルに他ならない。だとすれば、ユートピアの内容について、モアがどこまで本気だったかはわからなくなってくる。もしかしたら、ユートピアという国家そのものが、彼にとって逆説的な冗談だったとも考えられなくはない。
こんなふうな結論に陥るのも、モアが(思想家や政治家だけでなく)作家としても大変に優れているせいである。それは本書の構成を見るだけでも明らかだ。ならば堅苦しい解釈など捨てて、もっともっと気楽に『ユートピア』という作品を楽しんでも構わないのではないか。
ユートピア
(2006-12-18)
『トマス・モアは「ユートピア」において囲い込みを批判した。』
世界史の教科書にある一文。
書店にて受験時代の記憶が反応し、ユートピアってどんなもんだと思い購入。
いろいろ調べてみたけど、モアは人間を肯定する人文主義者。
■当時イギリスでは窃盗は即死刑。ユートピア→労務を課す。
■労働時間は六時間。
■戦争は外国傭兵にやらせる。
■宗教の信仰は自由。
なんだかんだいい国じゃんって思った。でもこれが今の実社会にどう役に立つかまではわからなかった。
登場人物も結構ユーモラス。読んで損はしない。☆四つ。
老いる
(2006-04-20)
最近お年寄りと出会うことが多い
私の両親も70歳を超えている
元気ではないが長生きをしている
でも・・
力がない
でも生きている
上戸綾さんもいずれ年をとる
まぁその頃は私は生きてはいない
齢(よわい)に尊敬を見るよりも
悲しさを見るのは自分の死に対するおそれかな?
人と極力話をしなくして日々を過ごす今日この頃
タバコを吸うこともあり
痰がからむことも多くなった
何もかも興味を失っている私が興味を示していることが一つある
人は何故私から見て必要のないものを売り続けるのだろう?
浅原の集客とテレビやメディアの集客と違いが判らなくなっている
500年以上前に書かれたユートピア
トマス モアの「ユートピア」の語源はどこにも無いということだ
そこに描かれた世界は今でも「現実」ではなく「夢」以下のものに違いない
この迷いを救い上げてくれたのはメディアに隠れたあふやな人たちなのだろう
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