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あなたの性欲を刺激したいの!
(2008-07-16)
この本は約100年前の出版当初は、「風俗を紊乱する」ってんで、発禁本扱いになっていたそうである。昨今は、「いたずらに性欲を刺激する」とかいうことで、発禁本となるようであるが、この本を読んだ私は性欲も刺激されなかったし、あそこを紊乱したとも思わない。
むしろ、当時の「大日本帝国」の外交官はワシントンとパリに愛称を囲うくらいの羽振りのよさを決め込んでいたことが、どちらかといえば興味深い。本書によれば、月給800フランのうち、200フランくらいを月々のお手当として、ミッシェルちゃんに払っていたそうであるな。こんなことをリークしてしまったんで、「発禁」指定になったのかなあ。
いずれにせよ、永井荷風の女好き、オペラ好き、おフランス好きを、本人が身をもって現地ルポしているのが、日本人として悲しくもあり、面白おかしいのである。
永井荷風のエスプリ香る1冊。
(2007-02-12)
いろんな意味で当時騒がれたといことだが、
いま読んでみると「?」現代人の感覚で
なぜ初版が発禁になったのかは理解できなかった。
確かに、「女」を中心に描いているその描写が当時としては過激なのであったのだろう。
それも作品全体を通してはほんのわずかだが。
この小説の特徴は、日本人のヨーロッパ感ではなく
あくまでも永井荷風自身がアメリカ人の目ということを通しての
ヨーロッパ感ということ。
作品全体としては、当時のパリでの日常を描いているが
フランスだけではなく、スペイン・イタリア等多岐に渡る。
紀行文としても、当時の生活様式を垣間見ることができる。
荷風らしい!
(2006-09-26)
荷風は明治政府が大嫌い、警察が大嫌い、軍隊が大嫌いという人でした。『ふらんす物語』の中で、駐在している日本人が明治政府をこき下ろすシーンがありますが、荷風の真骨頂です。(今日にもあてはまりそう・・)
また荷風は敬愛する人の墓参りをするのが好きな人で、自分を見いだしてくれた森鴎外の墓へ何度もお参りしていましたが、かの地でもモーパッサンの墓へお参りしています。ちなみに私は特にこの章の文章が好きです。
主人公が、通りにいる街娼を見たところ、実にそのすべてと関係していた自分に驚くところは笑ってしまいました。
この小説が「発禁処分」などとは今ではとうてい考えられませんが、一発で「発禁処分」になったということは、当時の日本は相当病んでいたといわざるをえません。
「パリ」じゃなくて「巴里」な世界
(2003-04-12)
荷風が描く巴里の風俗は、まるで印象派の絵画を見るようで、読んでいると、瓦斯燈にきらめく街並み、着飾った貴婦人たち、立派な紳士たち、愛を語る恋人たちから、音楽に葡萄酒、マロニエを渡る風までが、時を超えてありありと目の前に感じられるような気がします。
この『ふらんす物語』は、世界が戦争で荒みきってしまう前夜の、最も華やかで美しかった「芸術の都、巴里」の儚い夢の記憶です。
お洒落な気分で読書したい時には、ぜひ。
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