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稀代の目利き
(2006-10-18)
旅に生き、旅に死んだ著者チャトウィンの生涯は、
つねに定住と漂泊のせめぎ合いの狭間にあったが、
元サザビーズ鑑定人という経歴を持つ彼の本質は、
ひとことで言えば、「稀代の目利き」ということになるかと思う。
すでに出来上がった作品を前にためつすがめつし、評価を下す側の人間は、
たとえ自ら創造し、評価を受ける側にまわることを望んだとしても、
資質の違いからか滅多にそれを果たせないもので、
この著者は一見、ごくまれな例外のようでもあるが、
本書を読んでいて、彼の「見る者」としての才能は、
創造者としての才能を最後まで上回っていたのではないか、
という思いにとらわれた。
広範な旅と読書で得たありとある知見が
ふんだんに詰め込まれた彼の文章は、
つねにスタイリッシュで気がきいているが(あるいはそれゆえに)、
決定的な何かが不足しているようにも思えてしまうのである。
本書や『ソングライン』に顕著な特徴のひとつとして、
世界の一流人士と目される人物との対話や、
彼らにまつわる珍奇な挿話のあれこれが、
かなり頻繁に挿入されていることが挙げられるが、
そこには、彼らと対等の立場でつき合い、議論を戦わすことができるほどに
該博な知識と教養を持ち合わせていることへの
著者のひそやかな矜持が感じられるのと同時に、
彼らの名前をコレクションの品々のように持ち出すことで
自らの存在をも等身大以上に拡大して見せたいという、
ややスノビッシュな志向も感じ取れないことはない。
著者が生涯を通じて憑かれたように繰り返した旅とは、
それを通じて、自らの生そのものを一種の「作品」に仕立て上げようという、
いわば自作自演の神話化を図るための小道具でもあったようで、
そういうことを感じさせる部分がどこか鼻につくと言ったら、
少々意地の悪い見方ということになるだろうか。
彼の全体像はわかるのだが、
(2003-04-19)
この本は、彼が活躍していたいろんな分野での文章を集めたもので、彼のいろんな側面がわかって面白い。しかし、逆に統一したテーマがないので物足りない面が残った。そういう意味で、統一したテーマを扱った「ソングライン」を早く読みたいので、早く増刷して欲しい。
自己の臨界へ
(2001-11-18)
「私は一生をかけて奇跡的なものを捜してきた。しかし、ほんの少しでも超自然的な匂いをかぎつけると、私はいつでも、理性的に、科学的になろうとしてきた」。ヒマラヤでイエティを探し、ガーナではヘルツォークの映画に参加、マルセイユでアラブ人差別を考える…。世界の各所に変幻自在に出没する旅人チャトウィン。彼はなぜ世界中を歩き続けなくてはならなかったのか。この本を読むと、彼が旅をしながら時には書物の奥深くへ、時には歴史的人物を訪ねていったのは、実は自分の中にある理性という名の限界を踏破しようという試みだったのかもしれないと思えてくる。
日本の駄目男へ。
(2001-07-25)
これ読んで感化されて、旅でも行ってくれば?
カッコイイとはこういうことだ。
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